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2023年度 NEOびじゅつじゅんびしつ 「ウクレレが上手になりたい」

こどもたちの「やりたいこと」を後押しする「NEOびじゅつじゅんびしつ」(秋田公立美術大学主催)。2023年度は5人の挑戦を応援しました。「ウクレレが上手になりたい」と挑戦したSさんの詳細をレポートします。

「NEOびじゅつじゅんびしつ」(通称NEOび)は、アーティスト・柚木恵介さんによるプログラムです。柚木さんはこれまで神奈川県鎌倉市と長野県上田市を舞台に、こどもたちが自ら多様な個性と関わりながらモノやコトをつくり出す活動を展開してきました。

NEOびでは、こどもたちが自分1人の力ではもう一歩踏み出せない「やりたいこと」を、大人が「ふいご隊」(応援スタッフ)となって背中を押します。
「ふいご」とは火をつけたり火力を強めたりする時に風を送る道具のこと。ふいご隊はこどもたちのやる気の火種に風を送り込んで、燃え盛る火になるよう真剣に応援します。隊長は柚木さんです。

2020〜2022年度に小学生を対象としてグループで実施していたNEOびですが、本年度は少し対象の年齢を上げ、挑戦者自身だけで自分の「やりたいこと」の実現を目指しました。こどもたち自らが考え、相談や工夫をしながら壁を乗り越えていく、そのクリエイティビティを後押しします。

「NEOびじゅつじゅんびしつ」関連記事一覧

概要についてはまとめたレポートもご覧ください。

挑戦者の1人、Sさんのやりたいことは「ウクレレが上手になりたい」。
もともと少しは弾けるというSさん。挑戦後にはどんな音色を響かせてくれるのでしょうか。
Sさんの詳細をレポートします!

やりたいことが3つも!どれにしよう

Sさんは「ウクレレが上手になりたい」というほかに、「写真を撮りたい」「絵を描きたい」という、3つのやりたいことを書いて応募していました。

個別相談会で、それぞれの挑戦について「なぜやりたいのか」という理由を聞いてみると、3つとも理由がはっきりしていて、ふいご隊は全てに挑戦してほしいという気持ちを抱きます。ただ、今回は時間が限られていることから、今一番やりたいという「ウクレレ」に挑戦することになりました。

作戦会議で腕前披露

個別相談会の時にSさんは柚木隊長が用意したウクレレを少し弾いてくれたのですが、次の作戦会議の時には自分の楽器を持参して聴かせてくれました。

すでに弾ける曲はあるものの、動画を見て独学で学んでいるため、難しい曲で挫折してしまうことが何度かあったのだそうです。そこで目標は、弾きたい曲を上手に弾けるようになることに決めました。
また、ウクレレの生演奏をまだ聴いたことがないというSさん。
プロの先生に習いに行き、しっかり弾き方を教えてもらい、生の音を感じてみることにしました。

プロに習いに行くならば、ふいご隊が教えるわけではないので、NEOびの役割ってなに?と思われる人もいるかもしれません。
実はSさんは以前から習いに行こうという気持ちは持っていました。けれども、どんな先生が教えてくれるのか不安で、なかなか行動に移せなかったのです。
その不安な気持ちから一歩抜け出すために、ふいご隊は背中を押します。
今回は、同じくウクレレを持っているけれども弾けない柚木隊長が一緒に習いに行くという応援方法を取ることにしました。

ウクレレ教室で基本を確認

そうと決まったら、ふいご隊の出番です。秋田市内でウクレレを教えてくれる先生を探し、現役ウクレレ奏者である鈴木昭寿先生の教室を見つけました。

まずは体験レッスンに参加します。Sさんがドキドキしながら教室の扉を開けると、とても優しそうな先生が迎えてくれました。
早速先生に、弦の押さえ方や弾き方のコツなどを教えてもらいながら、簡単なフレーズを弾いてみます。ポロンポロンと優しい音色につられるように、Sさんの緊張がどんどん解けていくようです。先生の指導に「そうだったのか!」と大きくうなずく様子も見られました。

レッスン中には先生が演奏してくれる場面もありました。Sさんはウクレレの生演奏を目の前で聴くことができ、とても楽しそうにしていました。

体験レッスンが終わった後も、Sさんと柚木隊長は2回のレッスンで基礎を学び、報告会でのお披露目に向けて自宅で自主練を重ねました。

報告会で練習の成果を披露

報告会では、いよいよSさんが弾きたいと希望していた曲を柚木隊長とセッションします。
発表の番がくると、緊張した面持ちでしたが、見事に美しいリズムのウクレレの音色を響かせて、会場に来た保護者や他の挑戦者たちを楽しませてくれました。

Sさんの保護者は、以前からSさんが人前に出るのが得意ではなかったので、報告会で演奏できるかとても心配していたそうです。ですが、しっかりとみんなの前で演奏することができ、Sさんの成長を感じた様子でした。

やりたいことがある挑戦者を待っています!

NEOびじゅつじゅんびしつは美術大学のプロジェクトですが、ものを作ったり、絵を描くこと以外の挑戦も大歓迎です。「ふいご隊」はこどもたちと学び合い、一緒に寄り添い、「やりたいこと」を成し遂げるために全力でサポートします。

やってみたいとずっと思っていることはありませんか?
2024年の募集は6月ごろ開始予定です。
あなたの挑戦を待っています!

■2023年度NEOびじゅつじゅんびしつ 挑戦者レポート一覧

▶︎「焚き火で料理をしたい」
▶︎「ウクレレが上手くなりたい」
▶︎「大きなキャンバスに絵を描きたい」
▶︎「プログラミングで自分の作った車を動かしたい」
▶︎「山に登りたい」

Information

クリエイトブラボー NEOびじゅつじゅんびしつ

2023年度の募集は終了しました

■事業名:クリエイトブラボー NEOびじゅつじゅんびしつ
■対象:秋田の小中学校に通う11-15才
■募集内容:自分が「やってみたいこと」
■担当教員:柚木恵介 (秋田公立美術大学ものづくりデザイン准教授)
■主  催:秋田公立美術大学
■企画運営:NPO法人アーツセンターあきた
■お問い合わせ:NPO法人アーツセンターあきた (担当:武藤、小野)
[TEL]018-888-8137 (受付時間平日9:00-17:00)
[E-mail]createbravo@artscenter-akita.jp
[WEB]www.artscenter-akita.jp

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Writer この記事を書いた人

アーツセンターあきた

武藤沙智子

秋田県生まれ。大学卒業後、航空会社系旅行会社で営業・企画・販売推進などの業務に従事。47都道府県を巡る旅好き。
奈良、宮城、大阪、千葉、埼玉と移り住み、2019年に秋田市の地域おこし協力隊 移住定住コーディネーターへの応募をきっかけに帰秋。退任後は民間企業を経て、2022年から現職。あきた発酵伝道師一期生。現在は発酵食品、伝統食、伝統工芸に興味を持っています。

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